いい妻、いい母の呪縛
いい妻、いい母になりたいと日々切磋琢磨している方が少なくないのではないでしょうか。
夫や子どもたちの身なりや生活態度は、妻の評価に繋がる傾向があります。
姑や子どもの健診で食事の内容や生活状況を問われ、問題があると思われると注意を受けます。
注意されるような問題点を作らず、理想をこなすことが「いい妻、いい母」なのだと感じるようになりました。
私は結婚して子どもを持ち、数年間の間はずっと「いい妻、いい母」になるために自分を抑えて努力していました。
朝誰よりも早く起きて、家族の朝食を用意して夫を起こし、送り出します。
子どもたちの世話をして家事をして、眠い目をこすり、疲れていても義務だからと自分の時間を削って手を抜くことはありませんでした。眠るのは家族のだれよりも遅かったです。
来客に「家が片付いている。チリ一つ落ちていない」と言われて喜んでいました。
しかし夫はある時、「正しく、完璧な猫家の前で弱音が吐けなかった」と言いました。
私は世間が言う「いい妻」ばかりを追い求め、自己満足に浸っていたのだと気が付きます。
いい妻かどうかは、世間ではなく夫が決めることだったのです。
いい母ってなに?理想の弊害とは
子どもたちにとっても、部屋をきちんと片付け、怒らず、役所が指導する理想の食事を食べさせることが必ずしも「いい母」でないことに気がつきました。
理想を追い求める中で、知らず知らずのうちに子どもの自主性や興味、希望を知らないうちに抑制することがあるのです。
私は理想が強い母に育てられました。
チョコレートは小学校中学年になるまで与えられませんでした。
スナック菓子もジュースも大きくなるまで与えられませんでした。
友人宅や祖父母宅に行ったときに、貪るように食べました。
お年玉を使うことは許されず、買い食いができずに友達が食べるのを待つしかありませんでした。
父の希望で、外食をする機会もありませんでした。
親元を離れて一人暮らしを始めると、コンビニご飯や総菜が美味しいことを知りました。
憑りつかれるように食べて、あっという間にお金が無くなって、太りました。
一切を禁止された生活からの、明らかな反動でした。
夫や子どもにとっていい妻、いい母を目指す
夫に「正しく、完璧な猫家の前で弱音が吐けなかった」と言われて、考えを改めました。
世間の理想を求めるのではなく、夫と私が心地よく支えあえる関係を目指すべきだと思いました。
理想を追い求めていると、タスクがいっぱいになって知らないうちに追い詰められていたり、それをこなすために家族でくつろぐ時間を失っていました。
頑張りすぎないことを目標に掲げて適度に手抜きをするようになりました。
優先順位をつけて、手に負えないものは後回しにするようになりました。
例えば毎日、日に何度もかけていた掃除機を、夫が休みの日は止めるようにしました。
腰を据えてじっくり夫と談笑する時間を優先するのです。
多少床に髪の毛が落ちていたって、生活に支障はありません。
夫と晩酌をして盛り上がり、ちょっと飲み過ぎたっていいのです。
夫は少しだらしなくなった私を見て、喜びました。
いい母を捨てると、よいことがある
子どもたちの部屋が散らかると“良い”ことがあります。
子どもたちが「あれがない、これがない」と騒ぐなら、「大切な物を無くさないよう、自分で整頓しておかなければならないんだよ」と教える機会になります。
世話が行き届いた母親を世間ではいい母と言いますが、いい母の子どもは優秀な母親が先回りをして身の回りを整えるので、自主性に欠ける子どもが育つとも言われることがあります。
少しくらい抜けている母親がいる方が、子どもに自主性が生まれることがあるのです。
何をもっていい母と言うかの正解はありません。
いい親の先入観
わかっていたのに、また同じ過ちを犯しました。
子猫を飼い始めた時、子猫用ご飯のパッケージを見て、月齢や体重に合わせた量を与えていました。
しかし猫は「もっともっと」と欲しがります。
規定量の二倍の量をあげても欲しがり、終いにはゴミ箱や排水溝のゴミを漁るようになりました。
インターネットで検索をして調べましたが、太り過ぎはよくないので、餌のあげすぎはよくないと書いていありました。
それを鵜呑みにして、規定量の二倍以上を与えることはしませんでした。
ワクチン接種のために動物病院にかかった時に獣医に相談すると、「猫が痩せすぎている。生後半年ころまでは成長期だから欲しがるだけ与えてよい」と言われました。
見た目からして、痩せていることはわかっていました。
それなのに、理想ばかりを追ってしまいました。
パッケージに書かれた理想量ではなく、目の前にいる飼い猫の様子を見なければならないのに、またも私は間違えたのです。
それからは獣医の話の通り与えて、すくすくと育っています。
家族の幸せに必要なもの
理想と現実を知り、肩の力を抜いて背伸びしない妻、母でいることが大切だと学びました。
見るべきものは世間の理想ではなく、目の前にいる大切にしたい人、本人です。
自戒を込めて。
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